簡単!AR_CAD講座

ここでは、細かい操作方法を無視して、とりあえず「見本」を見ながら一通り建築図面を作成してみることで、CADを入力する基本的な流れを知ってもらおうという趣旨で、操作方法が説明してあります。

すでにCADをガシガシ使われている方には、少々物足りない内容かもしれません。初心者の方にとって、これがCADの世界への足がかりとなれば幸いです。

ここで説明している方法は、たくさんある作成手順の中の一例にすぎません。どんどん使って慣れてきたら、ぜひ独自の使い方をあみ出してください。きっとAR_CADがもっと楽しくなりますよ。

1.入力図面完成イメージ-「A様邸新築工事」

目次に沿って作業を進めて、下にある図面の入力をおこないます。一通り終えて、下の図面と同じような図面が作成できていたら合格。細かい点は気にせずに、どんどん図面を完成させていきましょう。

2.サンプルデータのダウンロード

作図の作業に入る前にまず、サンプルデータのダウンロードをおこなってください。このデータは、これから入力する図面の参考資料だけなく、図面を入力するうえで必要なDXFデータも一緒に入っています。何回かこのデータを開く作業もありますので、ダウンロードしたら、開く際にわかりやすい場所に移動してください。

サンプルデータのダウンロード

3.用紙サイズの設定

※作図を始める前に、CADを効率よく使うための設定をします。AR_CADでは、かなり細かく設定をすることが可能ですが、ここでは最も初歩的な「用紙サイズ」、「エリア縮尺」、「グリッド」、「レイヤ」の設定を説明します。
CADを初めて使われる方にとって、特に「縮尺」の概念が最もとっつきにくく、わかりにくいので、この段階で挫折してしまう方も多いのではないでしょうか?しかし、多くの図面を作成する場合、この「縮尺」はとても大事な設定ですので、しっかり作業方法を学びましょう。

「用紙サイズ」とは、これから作図する図面を印刷する用紙のサイズのことで、このサイズを元に「グリッド」や「縮尺」が割り当てられます。

 

上の図を確認しながら作業をおこなってください。
「用紙サイズ」プルダウンメニューの[▼]ボタンを押して、表示された用紙サイズの一覧の中からサイズを選択します。今回の図面では、「A4横[297×210]」を選んでください。

4.エリア縮尺の設定

「エリア縮尺」とは、CAD画面の縮尺のことです。AR_CADでは、同じ図面上に違う縮尺の図面データを配置することができ、縮尺をエリアで管理しているので「エリア縮尺」という名前が付いています。しかし、最初からエリアを何枚も使うとややこしいので、最初はベースエリアの縮尺を設定して、そこに直接作図していくことにします。

 

上の図を確認しながら作業をおこなってください。
<エリア名称:ベースエリア>の<エリア縮尺:1/1>にカーソルを合わせてクリックします。そうすると、[▼]ボタンが表示されますので、縮尺一覧の中から「1/100」を選んでください。
建築図面の平面図の場合、作図縮尺は「1/100」で表現されていることが多いです。これは、等身大の大きさの「1/100」の大きさで図面を描いていることを表しています。
CADでは、この縮尺を正確に設定しておかないと、後で出てくる「寸法」や「面積」の測定に影響を及ぼし、正しい結果が出なくなってしまいます。
仕組みがよくわからなくても、とりあえず「1/100」に設定しておいてください。

5.グリッドの設定

「縮尺」の設定が終わったら、次は「グリッド」の設定です。この「グリッド」の数値を作図する図面の寸法に合わせると、作業効率が格段にアップしますので、ぜひ設定しましょう。

グリッドの設定は、「グリッドの表示/非表示」ボタンの右にある小さな[▼]ボタンを押すと設定画面が表示されます。設定は次の通りです。

  1. データスケール座標にチェック
  2. メイングリッド
    <グリッド形状>→線グリッド
    <グリッドピッチ>→X 910,Y 910
    <グリッド基点>→X 0,Y 0
    <グリッド角度>→0
  3. サブグリッドを表示にチェック
  4. サブグリッド
    <グリッド形状>→点グリッド
    <グリッドピッチ>→X 455,Y 455
    <グリッド基点>→X 0,Y 0
    <グリッド角度>→0

これから作図する建築平面図では、1グリッドを「910mm」に設定して、それを基準に作図していきます。「910mm」は、およそ畳半畳の長さなので、部屋を区分するのに便利な長さです。通常の図面でも1グリッド「910mm」に設定してある図面は多いです。

6.レイヤの設定

「エリア縮尺」とは、CAD画面の縮尺のことです。AR_CADでは、同じ図面上に違う縮尺の図面データを配置することができ、縮尺をエリアで管理しているので「エリア縮尺」という名前が付いています。しかし、最初からエリアを何枚も使うとややこしいので、最初はベースエリアの縮尺を設定して、そこに直接作図していくことにします。

どのレイヤにどんな要素が入力されているかをわかりやすくするために、まず<レイヤ名称>と<レイヤ色>の設定をおこないます。下の図を参考にして、設定してください。尚、設定は、変更したい箇所をクリックして一覧から選択、もしくは文字の入力で実行できます。

おまけ

設定した内容は、すべて立ち上げている図面に対してのみ有効な設定で、新しく図面を立ち上げた場合、新しい図面にこの設定は有効ではありません。新しい図面にも同じ作業をおこなう必要があります。
図面毎に違う設定が必要な場合は問題がないのですが、ほぼ同じ環境なのに毎回設定しなければならない場合はとても面倒。

そういう時のために、「動作環境設定」という項目があります。「設定」メニューからこれを選択して「動作環境設定」を立ち上げると、すべての図面に有効な環境を細かく設定することができてとっても便利。ただし、作業がとても細かいのでこのマニュアルでは省略します。CADに慣れてきて、もっと作業効率を上げたくなったら、AR_CADに付属のマニュアルを参考に、自分だけのオリジナル環境を作ってみてください。

7.間取り&部屋名を入力

設定が終わったら、いよいよ≪1階平面図≫の作成にとりかかります。まず最初に、<間取り>と<部屋名>を入力します。

上の「1階平面図の拡大図」を参考に、グリッドに沿って「線分」と「文字」を入力してください。ここで使う機能は以下の通りです。主に下図で表している箇所で、この機能を使います。

使う機能

  • 直線
  • 矩形
  • 文字(角度変更有り)
  • ハッチング(矩形の塗りつぶしでも可)
  • 線切断
  • レイヤの選択
  • 線種の選択

「レイヤ」の選択(部屋名レイヤに描く)

入力を始める前に、入力する「レイヤ」の選択をします。このページでは、<間取り>と<部屋名>を入力しますので、「レイヤ」から<部屋名>をクリックして、描画可能状態にします。
鉛筆マークが<部屋名>の前に移動したら、それが描き込みレイヤが<部屋名>レイヤにセットされている合図になります。

「線」の入力

「直線」アイコンを選択して、図の通りに線分を入力します。線の入力は、端点の2点指示おこないます。

「点線」で描かれている部分は、CAD画面右上にある「線種」選択のプルダウンメニュー(下図)の[▼]ボタンを押して、線種を≪点線≫に変更してから、線を入力します。

「文字」の入力

「文字」アイコンを選択して、「1階平面図の拡大図」の通りに文字を入力します。入力方法は、入力したい位置をクリックして、文字を入力後、「確定」ボタンを押します。

平面図の『下駄箱』の文字のように、文字が横向きになっているものは、文字を入力する際に、メニュー左にある「文字角度」プルダウンメニュー(「下図参照)から角度≪90≫を選択します。

「ハッチング」または「矩形」塗りつぶし

上図の『ポーチ』や『床の間』のように、線で塗りつぶしを施してあるものは「ハッチング」もしくは「矩形」の塗りつぶしで作業をおこないます。どちらで入力しても、同じような塗りつぶしができますが、特徴は若干違うので注意が必要です。

まず、「ハッチング」で線内を塗りつぶした場合、入力された線の1つ1つは独立しており、削除も切断も可能です。上の図のように文字の背景を白抜きしたい場合は「ハッチング」で塗りつぶし作業をおこなうことをお勧めします。

次に「矩形」で線内を塗りつぶした場合、中の線分は矩形を一体で、それぞれを編集することはできません。したがって、文字の背景を白抜きする作業はできないことになります。ただし、「ハッチング」したものと違い、「矩形」としてまとまった要素になるので、違う場所への移動や変形などの作業を行うときはたいへん便利です。また、入力も「ハッチング」に比べてとても簡単です。
この2つは、入力する場所に応じて使い分けると良いでしょう。今回作成している平面図では、文字背景を白抜きしているので、正確に真似て作成する場合は、「ハッチング」で塗りつぶしをおこなってください。白抜きを無視する場合は、「矩形」の塗りつぶし機能を使ったほうが、間単に入力ができます。

「矩形」の塗りつぶし方法は、「矩形」入力後に「塗りつぶしパターン」プルダウンメニュー(下図参照)からパターンを選択します。

線切断で白抜き

塗りつぶしの際に「ハッチング」を使用した時のみ有効です。
「線切断」アイコンを選択して、文字の背景にある線を文字の見やすい位置で切断していきます。

8.階段の作成

次は入力した<間取り>を基準に、<階段>の入力をおこないます。この時、階段作成の作業中に間違って、せっかく入力した<間取り>や<部屋名>を消してしまわないように、<部屋名レイヤ>に≪ロック≫をかけておくことをお勧めします。≪ロック≫は、レイヤの鍵アイコンをクリックして鍵がしまっている状態で有効です。

下の図を参考にグリッドに沿って線分と文字を入力してください。ここで使う機能は以下の通りです。

使う機能

  • 直線
  • 巾線(連続入力)
  • 文字(角度変更有り)
  • 複線(コピー)
  • 線切断
  • レイヤの選択
  • 伸縮(基準線)
  • コーナー処理
  • 消去

「レイヤ」の選択(階段レイヤに描く)

<部屋名>の入力の時と同様に、始める前に入力するレイヤの選択をします。このページでは、<階段>作成しますので、レイヤから<階段>をクリックして、描画可能状態にします。

機能を駆使して階段を作成する

下の図で、階段の簡単な入力手順(流れ)を書いていますが、この通りに作成する必要はありません。むしろもっと簡単に描ける方法を、いろんな機能を駆使してあみだしてください。

尚、階段を作成するとき、<間取り>の上に直接描き込むのが通常ですが、色がごちゃごちゃしてわかりにくい場合は、サイズだけ確認して、少し離れた場所に作成するのをお勧めします。こうすることで、紛らわしい線から隔離できますし、誤ってせっかく描いた線を消すという事態も防ぐことができます。

また、作成した階段は、選択した後「グループ化」すれば、形を崩すことなく移動できます。「ブロック化」すれば、消しても何回も読み込んでくることができます。

注意点

作成しながら気づいている方もおられるかもしれませんが、上の図にあった<階段>の見本は、≪1階平面図≫のものではありません。実際には、≪2階平面図≫用のものです。

≪1階平面図≫の<階段>の場合、<階段>の下に『収納スペース』等を配置する場合があり、<階段>は、「点線」で表現されることが多いです。ですから、まず≪2階平面図≫用に階段を作成し、コピーして2つにしてから、1つを≪2階平面図≫用に「ブロック」化して保存、もう1つを≪1階平面図≫用に作り直すという作業が最も一般的だと思われます。1階の<階段>は下の図の拡大図を参考にしてください。

階段の作成に挫折してしまった場合

いろんな機能を把握していないと、「機能を駆使して同じものを作る」、というのはたいへん難しい作業なので、初めて使われる方には困難かもしれません。そこで、どうしても<階段>を同じように作成できない!という方のための逃げ道を用意しました。

このマニュアルの2項目目で、サンプルデータをダウンロードされたと思います。このデータの中に、こちらで作成した<階段>のデータをDXFで用意しました。これを挿入すれば、この作業をジャンプして次のページの作業に取り掛かることができます。尚、挿入方法は、次のページの「建具の挿入」で説明しますので、このまま次のページに進んでください。

<階段>の作成は、もう少しCADに慣れてから再度チャレンジしてみてくださいね。

9.建具の挿入

次は入力した<間取り>を基準に、<建具>の入力をおこないます。<建具>とは、窓やドア等のことを指します。<建具>も<階段>同様に、1つずつ作成することもできますが、このページでは、建具のデータが”DXF”データとしてすでに存在していると想定して、外部データをCAD画面上に挿入する方法で入力をおこないたいと思います。

建具の”DXF”データは、2ページ目でダウンロードしたデータの”Sample”フォルダに入っています。

下の図の拡大図(画像をクリックすると表示されます)を参考に、グリッドと間取り線に沿ってデータを挿入します。

使う機能

  • 挿入

「レイヤ」の選択(内建具、外建具レイヤに描く)

<部屋名>や<階段>の入力の時と同様に、始める前に入力するレイヤの選択をします。このページでは、<建具>の挿入をしますので、レイヤから<内建具>、または<外建具>をクリックして、描画可能状態にします。

また、建具の挿入の際には、前のページで入力した階段を≪非表示≫にしておくと、より作業がやりやすくなります。≪非表示≫にする方法は、下の図のようにレイヤ名称の左にある「目」のマークを閉じればオッケー。

<内建具>と<外建具>の違い

<内建具>とは、家の中に取り付けられている建具のことで外部と接触がなく、雨風にさらされない場所に配置してあります。<外建具>は、玄関の戸や外に面する窓など、外と家の中を遮断する役割を持った建具のことです。

この2つは、同じ役割を持つ建具ではありますが、配置箇所の違いから、素材が異なることがほとんどで、入力する際も分けて考えています。CAD画面上では、レイヤと色の違いから、<外建具>と<内建具>を見分けることができます。

外部ファイルの挿入方法

「挿入」ボタンを押すと、下の図のような画面が表示されます。左上の画面で、”Sample”フォルダのある場所を選択して、左下の画面で建具を確認しながら、右の一覧からデータを選択して「ファイルを開く」ボタンを選択すれば、CAD画面に戻るので、配置箇所をクリックして挿入完了。

データ選択時に、図面挿入基点を≪任意≫」に設定すると、左下の画面でデータの基点(挿入時のカーソルの位置)を選択できるので(下図」参照)、思い通りに配置ができます。

外部ファイル参照チェックボックスにチェックが入っていれば、”DXF”データを変更したときに、すでにそのデータを入力している図面にも影響させることができますし、『絶対パス』、『相対パス』の指示で、”DXF”データを管理しやすくなりますが、今回は特に必要ありませんので、どれを選んでいても大丈夫です。

前のページで階段の作成に挫折した人へ

建具の挿入と同じ方法で、階段の”DXF”データを挿入することができます。データ名は、1階の階段が”stairs1f.dxf”、2階の階段が”stairs2f.dxf”です。

10.躯体の入力

次は入力した<間取り>と<建具>を基準に、<躯体(壁)>の入力をおこないます。この時、<建具>の入力の時と同様に作業中に間違って、<間取り>や<部屋名>を消してしまわないよう、レイヤに≪ロック≫をかけておくことをお勧めします。≪ロック≫は、レイヤの『鍵アイコン』をクリックして鍵がしまっている状態で有効です。

使う機能

  • 直線
  • 巾線(連続入力)
  • 包絡処理

図面は下の図を参考に入力してください

 

「レイヤ」の選択(躯体レイヤに描く)

入力を始める前に入力するレイヤの選択をします。このページでは、<躯体(壁)>の入力をしますので、レイヤから<躯体>をクリックして、描画可能状態にします。

「巾線」を使った躯体の入力

「巾線」を使うと<躯体(壁)>の入力がよりスムーズにおこなえます。
まず、「巾線」アイコンをクリックします。次に、『幅』の数値を「150mm」に設定してください。この『幅』の数値が、<躯体(壁)>の厚さになります。
線種はプルダウンメニューから「実線」を選択し、「芯線」は入力しませんので、チェックを切っておいてください。

「連続入力」チェックボックスにチェックを入れておくと、コーナーを自動的に処理するので便利ですが、チェックを入れておかなくても、あとで「包絡処理」をすれば同じ結果が得られます。上の図の拡大画面を参考にして、<躯体(壁)>の入力をおこなってください。

入力した巾線を「包絡処理」する

「巾線」の入力が終わったら、「巾線」の接合部分を「包絡処理」して白抜きします。「包絡処理」をおこなうときは、他のレイヤの要素が表示されていると作業がとてもやりにくいので、<躯体>以外のレイヤを≪非表示≫にしておきます。

「包絡処理」は、下の図のように包絡したい箇所を選択します。

すべての箇所の「包絡処理」が終わったら、下の図(画像をクリックすると拡大図面が表示されます)を参考に、「直線」を使って<躯体>を完成させます。完成したら、<階段>、<建具>、<部屋名>のレイヤを≪表示≫状態に戻します。これで図面が完成です。

「包絡処理」について

「包絡処理」は、線と線の交点をスムーズに処理するための機能です。処理パターンを覚えれば、とても使いやすい機能なのですが、選択範囲によって結果が異なってくるため、最初はなかなか思うような形にならないかもしれません。その場合は、作業は少し面倒になりますが、「コーナー処理」や「伸縮」を使うと、「包絡処理」使った結果と同じ状態にすることができます。

どちらでも使いやすい方法で、作業をおこなってください。

11.<水廻り>の挿入

<躯体(壁)>が入力できたら、次は<躯体>を基準に、<水廻り>の入力をおこないます。<水廻り>に入力するのは、”トイレの便器”や”浴室のバスタブ”などのアイテムです。<水廻り>の品も<階段>や<建具>同様に、1つずつ作成することもできますが、この項目では、<建具>と同じように”DXF”データとしてすでに存在していると想定して、外部データをCAD画面上に「挿入」する方法で入力をおこないたいと思います。

また、このページでは、外部データとの≪リンク≫の特性を生かして、外部データそのものを編集したときに、すでに図面に挿入してあるこれらアイテムデータを、どうすれば「更新」することができるのかも一緒に説明しようと思います。

<水廻り>の”DXF”データは、2ページ目でダウンロードしたデータの”Sample”フォルダに入っています。

      • 便器 → “toilet.DXF”
      • バスタブ → “bath.DXF”

下の図を参考に<躯体>に沿って、データを「挿入」します。

使う機能

  • 挿入

「レイヤ」の選択(水廻りレイヤに描く)

「挿入」を始める前に入力するレイヤの選択をします。この作業は、<建具>の挿入の時と同じです。このページでは、<水廻り>の「挿入」をしますので、レイヤから<水廻り>をクリックして、描画可能状態にします。

<水廻り>は、<躯体>を基準に「挿入」をおこないますので、<躯体>レイヤは≪表示≫状態にしておいてください。

外部参照ファイルにリンク

<建具>の「挿入」の時は、特に規定はありませんでしたが、今回の<水廻り>の「挿入」では、「外部参照ファイル」チェックボックスに、必ずチェックを入れてください。これにチェックを入れることで、外部のデータが変更されたときに、図面上にも影響を与えることができるようになります。

「外部参照方法」は、「絶対パス」チェックボックスにチェックを入れてください。こうすることで、どこの位置にあるデータにでも、≪リンク≫が可能になります。

挿入したデータの元データを変更する

<水周り>の「挿入」が終わったら、いったん図面を保存してください。その後で、「開く」ボタンを押して、図面に挿入した”DXF”データをCAD画面上に開きます。その図面になんらかの変更を加えて「保存」。例では、中に○を加えてみました。「保存」できたら、平面図の画面に戻ります。ここでは、まだ”DXF”のデータは反映されておらず、挿入した時の状態のまま表示されています。

メニューバーから「表示」→「外部参照ファイル再読み込み」を選択すると、挿入した”DXF”データは≪更新≫されます。


DXFデータの書き換え↑


再読み込み前↑


再読み込み後↑

12.寸法記入

<水周り>の挿入が終わったら、次は<寸法線>を描きこんでいきます。<寸法線>は通常、<躯体>の≪芯≫から≪芯≫までの距離をとり、記入します。図面によって、複雑な箇所がある場合は、さらに書き加えたりしますが、今回の図面では、四辺の≪芯-芯≫寸法のみの記入をおこないます。

下の図の拡大画面(画像をクリックすると拡大図が表示されます)を参考に、<寸法線>を記入してください。<躯体>や<建具>等で芯を取りにくい場合は、<部屋名>以外のレイヤに≪ロック≫をかけておけば、寸法の先端を間違えてとってしまうことを防ぐことができます。

使う機能

  • 寸法記入

「レイヤ」の選択(寸法レイヤに描く)

<寸法>の記入を始める前に入力するレイヤの選択をします。このページでは、<寸法>の入力をしますので、レイヤから<寸法>をクリックして、描画可能状態にします。

<寸法>は、<部屋名>を基準に入力をおこないますので、部屋名レイヤは≪表示≫状態にしておいてください。

「寸法」の詳細設定

<寸法>の入力をおこなう前に、どんな寸法のスタイルにするかを、サブコマンドの「寸法スタイル設定」で設定します。

「寸法記入」アイコン選択後、サブコマンドの「寸法スタイル設定」ボタンを押します。すると、≪寸法詳細画面≫が立ち上がりますので、『寸法詳細を手動で設定する』チェックボックスにチェックを入れてください。チェックを入れたら上の図を参考に、「寸法スタイル」を設定します。
例とは別の寸法スタイルにしたい場合は、下の図を参考にすると良いでしょう。

設定が終わったら「OK」ボタンを押して確定してください。

寸法の記入

<寸法>の入力には、スタイルの設定のほかに、「寸法測定方法の設定」があります。設定は≪平行≫、≪長さ≫、≪角度≫、≪半径≫、≪直径≫、≪円周≫、≪中心≫の全部で7種類あります。このページでは、≪平行≫を使用して寸法の記入をおこないます。≪長さ≫を使っても大丈夫です。


<寸法>の測定は自動的に、指示した1点間の距離をとり作図します。なので、一番最初に設定した≪グリッド≫や≪縮尺≫がとても大事になってきます。≪グリッド≫や≪縮尺≫の設定が間違っていると、<寸法>が正しく記入できません。

13.エリアを作成する

<寸法>の入力が終わったら、『1階平面図』の一通りのデータ入力が終わったことになります。このままでも十分印刷作業に移れますが、<エリア>を使えば、入力したデータの≪移動≫や≪拡大縮小率≫の変化等、管理しやすくなります。このページでは、作成した図面を<エリア>内にコピーして、用紙内を移動させる作業をおこないます。

使う機能

  • エリアの作成
  • カット&ペースト(切り取り、貼り付け)

「エリア」の新規作成

『1階平面図』が入力されている隣に、平面図がすっぽり入るくらいの大きさの<エリア>を作成します。<エリア>の作成は、画面右上にある「エリア作成ツール」から「新規作成」アイコンを選択して、画面上に2点指示で<エリア>の範囲を決定します。(下図参照)


この時、<エリア>の名称を「1階平面図」、縮尺を「1/100」に設定してください。

設定は、エリア入力時にサブコマンドからもおこなえます。

入力した平面図をカット&ペースト

<エリア>が作成できたら、次は入力した平面図を≪全選択≫して、≪切り取り≫、次に貼り付ける<エリア>を選択、そして<エリア>内の希望する位置に≪ペースト≫します。(下図参照)

この時、≪縮尺≫が正確に設定されていないと、拡大された状態で貼り付けられてしまいますので注意してください。

エリアを作成する

移動する図面を全選択し、≪切り取り≫

作成エリアを選択して≪ペースト≫

エリア変形機能を使って範囲を広げる

エリアを移動する

配置完了

<エリア>の「変形」と「移動」

<エリア>内に貼り付けたら、この『1階平面図』は<エリア>情報として編集可能になります。上の図で説明したように、貼り付けてみたけど<エリア>が少し小さくて、図面が全部表示されないような場合は、<エリア>の「サイズ変更」機能を使って範囲を広げます。「エリア移動」も<エリア>を選択して、移動位置をクリックするだけなので簡単です。(一連の流れは、上の図の通りです)


『1階平面図』の右側には『2階平面図』を入力する予定なので、『1階平面図』を画面の左の位置に移動してください。

『1階平面図』と同じ要領で、図面サンプルを見ながら作成していけば、『2階平面図』も作成することができます。復習のために自分で最初から入力してみるのも良いと思います。

14.”SPD”データの読み込み

このページでは、『2階平面図』を”SPD”データとして読み込む作業をおこないます。すでに作成されたものがダウンロードデータの中に入っていますので確認してください。

使う機能

  • 挿入

“SPD”データを挿入する

“SPD”データの挿入方法は、<建具>や<水廻り>を挿入したときと変わりません。メニューバーの「ファイル」→「インポート」→「SPDファイル」を選択します。(下図参照)

データ選択画面が開いたら、ダウンロードしたSampleフォルダの中のspdフォルダから『2階平面図(SPD)』を選択します。

このデータは『1階平面図』と同様に、<エリア>で管理する状態で≪インポート≫しますので、画面右上の「外部ファイル参照」チェックボックスのチェックをはずし、左下の「新規エリアを自動生成して読込」チェックボックスのチェックを入れます。図面挿入基点は”中心”にチェックし、読み込み縮尺は「1/100」に設定します。(下図参照)

設定が終わったら、「開く」ボタンを押して”SPD”データをCAD画面上に≪インポート≫します。CAD画面上にすでに入力してある『1階平面図』の右隣のどの位置でもいいのでクリックをして、≪配置≫をおこなってください。≪配置≫ができたらインポートした<エリア名称>の欄に『2階平面図』と入力します。

“SPD”データの整列

適当に配置した2つの図面は、このままだと見栄えがあまりよくありません。そこで、エリアツールの「エリア整列」機能を使って、2つのエリアを整列させます。

これで『2階平面図』の入力は完了です。

15.面積の測定&記入

『1階平面図』と『2階平面図』の入力が終わったら、次はCAD画面上に平面図に関する情報を記入していきます。まず最初に「面積の測定」と「記入」です。測定する面積は、

      • 1階延べ床面積
      • 2階延べ床面積
      • ベランダ面積

の3つです。

使う機能

  • 測定
  • 矩形または巾線

「エリア」と「レイヤ」の選択

<面積>の測定を始める前に、入力する<エリア>と<レイヤ>の選択をします。この作業は、平面図に関する≪汎用情報≫の入力ですので、「エリア」では<ベースエリア>を選択し、「レイヤ」では<汎用>を選択して、どちらも描画可能状態にします。(下図参照)

面積を測定する

「測定」アイコンをクリックした後、サブコマンドから≪面積≫を選択して、平面図の面積測定をおこないます。≪面積≫を測定する際の端点は、躯体の芯である<間取り>の線を基準にします。

また、『2階の延べ床面積』を測定する際には、≪吹き抜け≫と≪階段≫、そして≪ベランダ≫の面積を除いて計算する必要があります。≪面積≫については下図の拡大画面(画像をクリックすると拡大図が表示されます)を参考にしてください。

「測定」が終わったら、≪精度≫、≪単位≫、≪丸め≫を下図のように設定してください。「測定値記入」ボタンを押し、文字編集後、記入する位置をクリックすれば入力完了です。

16.汎用情報の入力

使う機能

  • 文字
  • 矩形
  • 直線
  • 方位記号の挿入

「エリア」と「レイヤ」の選択

<汎用情報>の記入を始める前に、入力する<エリア>と<レイヤ>の選択をします。この作業は、平面図に関する≪汎用情報≫の入力ですので、「エリア」では<ベースエリア>を選択し、「レイヤ」では<汎用>を選択して、どちらも描画可能状態にします。(下図参照)

方位磁石の入力

図面右上の位置に「方位」を入力します。「方位」の入力は、メニューバーの「ツール」→「方位記号の挿入」を選択して現れる画面(下図)で、方位の≪大きさ≫と≪角度≫の設定をして挿入します。設定は下の画面を参考にしてください。)

この図面では、画面の上が『北』を表しているので、≪角度≫は”90度”に設定します。尚、方位の≪直径≫は図面の縮尺寸法ではなく、”用紙サイズ上の寸法”になりますので注意してください。

図面枠と図面情報の入力

『1階平面図』と『2階平面図』のエリアを≪非表示≫にして、誤って編集してしまわないような状態にしてから、<ベースエリア>に<図面枠>を入力します。(下図参照)

<図面枠>が書けたら、<エリア>を表示に戻して、ずれたりはみだした箇所の配置の微調整をします。ここまで入力すれば、図面は全て完成!あとは印刷するだけです。

※<図面枠>は、環境設定を使えば新規で図面を立ち上げた段階で、すでに挿入されているように設定することができます。

17.完成&印刷

図面が完成(参照)したら、<印刷>してみましょう。これで、一連の作業はすべて終了です。

使う機能

  • 印刷(または印刷プレビュー)

印刷プレビュー

「印刷」をおこなう際には、まず「印刷プレビュー」で印刷状態を確認することをお勧めします。「印刷プレビュー」は、メニューバーの「ファイル」→「印刷プレビュー」を選択するか、「印刷プレビュー」ボタンを押すと画面が立ち上がります(下図参照)。

印刷状態を確認したら、「印刷」ボタンを押して、印刷を開始してください。

最後に

これで、一連の作業の説明が終わりました。CADというものについて、なんとなく理解していただけたでしょうか?もちろん、ここで説明した入力方法は1例に過ぎませんし、詳しい説明は今回省きましたので、わかりにくいと感じられた方を多いかもしれません。しかし、このマニュアルが、「CADをもっと使ってみたい」と思うきっかけになればと考えております。

AR_CADの使い方は無限大です。あなたにしかできない使い方に出会い、愛されるソフトとなる日がくることを、心から願っております。